第1章 Enju概要

Enjuとはどのようなシステムなのか,概要を説明します。

1-1 Enjuとは

Enjuは,国会図書館,公共図書館,大学図書館,専門図書館,学校図書館などにおける図書館業務で必要な全ての機能を提供する統合図書館管理用ソフトウェアです。図書館で働く人々の総意として必要と思われる機能を実装するほか,図書館利用者が求めるWebサービス機能についても実装していきます。

1-2 Enju開発の経緯

実際の社会に影響を与えるシステムの出現を目指すためには,実験用システムが作られれば良いというものではなく,実際に導入可能なシステムを考える必要があります。そのためには,実際の図書館業務で発生する様々な問題と解決法を,図書館員をはじめとして図書館に関わる様々な方々に提供いただき,細かなノウハウまで取り込んだ理想的な図書館システムを考えていくことが必要となります。

しかし,図書館員の方々をはじめとして,大勢の図書館に関わる方々は,皆さんそれぞれに忙しく,長期間継続して意見やノウハウの提供をいただくことは簡単なことではありません。ましてや,新しいアイディアを考えていただくという負担を過度におかけすることは,とてもできることではありません。

そこで,仕様の策定と並行して小規模図書館であれば導入可能な,統合図書館システムをプロトタイプ的に開発し,これを使っていただくことで,アイディアを出していただくことといたしました。このプロトタイプとして,統合図書館システムNext-L Enjuは開発が行われました。

こうして開発された統合図書館システム Next-L Enjuは,幾度かの改良が行われ,すぐれた開発環境の存在と開発者の技量の高さ,そして何よりも開発者および関係者の熱意によって,現在では,単なるプロトタイプの枠組みを超えて,実際の図書館業務に使用することが可能なシステムへと進化しました。2011年11月11日にリリースされた Next-L Enju Leaf Ver1.0.0 からは,正式名称も「Project Next-Lプロトタイプ Enju」からプロトタイプの文字を取り除き,「Next-L Enju」を正式名称としています。